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名古屋フランス料理研究会 第2回 料理勉強会
報告書
Le11 JUILLET 2018
会場:マキシマニス 参加者39名
勉強会の趣旨
・会員数名で料理を担当し、食事をしながら知識の共有や情報交換などの交流の場とすることがねらい
・この勉強会では、賛助会員様にもご参加をお願いし、お互いの関係を今以上に深め、有意義な情報交換
の場とすることも目的である。
・今後は会員のホテル・レストランの若手の料理人にも参加の枠を拡げて、トップシェフとの交流や
将来のシェフ育成の場の一環になることを目標にする。
今回使用した食材及び協賛業者様
*仔羊(株式会社アルカン) *雪室熟成合鴨ロース(株式会社たからじま)
*名古屋コーチン(杉本食肉産業株式会社) *パテ・ド・カンパーニュ(株式会社マツヤ)
*鱧・赤鮑(株式会社丸忠商店) *鉄板焼き用赤鶏・三河豚・黒毛和牛(杉本食肉産業株式会社)
*野菜全般(有限会社こだわり屋、ル・プランタン)*三州三河みりん(株式会社角谷文治郎商店)
*炭焼きコーヒー(名古屋製酪株式会社) *各料理に合わせたスパークリングやワイン(高瀬物産株式会社)
調理担当して頂いた会員シェフ
前菜・メイン担当
・山本義茂シェフ(レストラン シュバルブラン)
・奥田曜シェフ(ミルクール)
・水野源太シェフ(ル・プランタン)
鉄板焼き担当
・鳥居克成シェフ(名鉄トヨタホテル)
・渡辺昭博シェフ(金泉閣)
デザート担当
・菊野容功シェフ(プチレストラン イルフェボゥ)
勉強会の流れ
今回の勉強会では、前菜・メイン担当シェフ3名によって前菜・メイン各3品ずつ、鉄板焼き担当シェフ2名により、前菜1品・メイン3品、デザート担当シェフが2品、合計12品の料理をご用意して頂きました。
提供方法は前回同様、ブッフェ方式を採用しています。
会場のマキシマニス様のガーデンでの乾杯で始まり、
まずは鉄板焼きの赤鮑の塩釜焼きからスタート。
次に会場中央に設置したブッフェボードに冷たい前菜3種(仔羊のテリーヌ・名古屋コーチンの冷前菜
盛り合わせ・もち豚のファルシー)を順番に提供していきます。
途中、担当シェフより料理説明を、賛助会員様より食材のご説明をして頂きながらメイン料理に移ります。
会場入り口付近には、サラダバーを用意し、料理担当シェフそれぞれによるオリジナルのヴィネグレット5種を添えて、様々な味を楽しんで頂けるように。また、名鉄グランドホテル様より数種類のパンの差し入れを
頂きました。
メイン3種(雪室熟成合鴨ロースのロティ・鱧のフリット・仔羊のロティ)を順番に提供。場所を再び
ガーデンに移して鉄板焼きのメイン料理3品(三河赤鶏のスモーク・三河豚とモッツアレラチーズのパネ
・和牛ロース肉のステーキ)を焼きあがった物から大皿に盛りつけて提供。
最後にとうもろこしのグラスデザートとコーヒーゼリーを使用したデザート2品を提供しました。
今回の勉強会は高瀬物産様よりスパークリングを含むワイン全般のご協賛を頂きました。事前に料理内容を
お伝えし、それに合わせたワインのご用意をして頂くとともに、高瀬物産の岡田様、ソムリエの小森様より
ワインの説明、サーブなど担当して頂きました。
当日はレストランViveの高木シェフにMCとして司会進行をお願いしました。
各料理の担当シェフからのコメント
*山本シェフ
前菜:オーストラリア産仔羊鞍下肉のグリエ フォアグラ・ジロールのゼリー寄せ
香りの豊かな仔羊、旨味の強いジロール、椎茸、長ネギを 香ばしくグリエしたフォアグラ、
パセリ、コンソメのジュレでまとめ,生ハムで包みテリーヌに。アツアツのコンソメで流し固めることにより、日持ちしなくなりますが全体の味、香りの一体感が増します。
旨味に重点を置いた味わいのバランスをとるために、パセリのピューレ,トリュフ風味の
ヴィネグレットで、爽やかさをプラスしました。
メイン:セルダニョー・恵那鶏・生ハムのロティ 赤ワイン・タップナード・バジルソース
きめの細かいセルダニョーをロゼに仕上げるのは簡単なことなので、火入れの複雑さ、食感、
味の複雑さ、香りのプラスするために生ハム、恵那鶏のむね肉で巻き、パイ包みに近い仕上げに
しました。コースの中でのパイ包みは、重さが際立つので鶏のむね肉を用い、火の入りを優しく、食べるうえでは歯ごたえを楽しめるように仕上げてあります。南仏らしさを出すため、
にんにく、オリーブをあわせ、軽めに仕上げた赤ワインベースのソースを用意しました。
*奥田シェフ
前菜:名古屋コーチンの冷前菜盛り合わせ
名古屋コーチンは火を入れるとどうしても身質が硬くなるので、腿肉はコンフィ、胸肉は
真空調理、ささ身は味噌漬けと、なるべく柔らかく仕上がるように調理法を変えてあります。
茗荷、山芋と一緒にほうじ茶風味のコンソメとキュウリのジュレでゼリー寄せにしました。
メイン:雪室熟成合鴨ロースのロティを2種類のソースで
鴨肉は夏の暑い季節である事、肉がソースに負けない事を意識して、
シュエした玉ネギに桃のコンポートとマスタードを加えた、さっぱりと甘酸っぱいソースと、
黒オリーブ、ケッパー、アンチョビ、ヴィネグレットを使った酸味の効いたタプナードソース
の異なる2種類のソースで仕上げました。
*水野シェフ
前菜:もち豚のファルシー
前菜にマツヤさんのオリジナルブランドのパテ・ド・カンパーニュを使わせて頂きました。
パテに入っているフォアグラや洋酒の風味を活かし,薄く切ったグリエールチーズ、
蒸したサツマイモを重ね、豚バラ肉でグルグル巻きにして焼き上げた前菜です。
パテをそのまま切って使うには料理人の勉強会ではシンプルすぎると思い、
パテを使った料理として考えてみました。
メイン:鱧のフリット
丸忠商店さんの鱧の中に軽く燻製をかけてズワイガニや大葉、リゾットを詰めて
こんがりと揚げました。暑い季節という事もあり、酸味の効いたガスパチョと合わせました。
鱧は和食の色が強いイメージですが、日本の食材なのでフレンチでどんどん
使っていきたいと思います。
*鳥居・渡辺両シェフ(鉄板焼き担当)
前菜:鮑の塩釜焼き レモン風味
鉄板焼きでは、シンプルに素材を活かして手をなるべく加えないようにし、いかに美味しくいい状態で提供する事を考えます。
鮑はシンプルに塩とレモンで挟み焼きにして、レモンの香りと塩の風味で焼き上げます。
火の入れ加減はほぼ生の状態で表面だけ少し焼きあげました。付け合せは、今が旬の葉生姜・茗荷・きゅうり・水耕ネギなどを薬味とし塩水に漬け、香りと味を移しています。
鮑・薬味・塩水を一緒に召し上がって頂き、ソースなしで素材を味わってもらう事を考えて
みました。
メイン1:三河赤鶏のスモーク
鶏の腿肉に塩、胡椒で味付け、鉄板で焼き色をつけ8分ほど火を通しておく。ドーム型の
アルミホイルの中に桜のチップ、網にのせた鶏の腿肉を入れて5分くらいスモークする。
ポルトソースとハーブを添える。
メイン2:三河豚とモッツアレラチーズのパネ
豚ロースを薄くスライスして塩、胡椒で味付けをして、中にモッツレラチーズを包んでパン粉付けする。鉄板に多めの油をひき、焼き上げる。盛り付けた上にパルメザンチーズのチュイル、
ハーブをのせて、周りにトマトのソースを流す。
メイン3:和牛ロース肉のステーキ 生山葵添え
鉄板で好みの焼き加減に肉を焼き、脂の部分をカリカリに焼いて添える。
チキンとポーク、ビーフ、焼き野菜を一皿の盛り合わせにして提供という形です。
鉄板焼きで色々な調理法を用いて演出出来ないか考えました。
*菊野シェフ(デザート担当)
デザート1:白いとうもこしとココナッツのグラスデザート
勉強会では、普段やらない事にチャレンジしようと思いとうもろこしをデザートに選びました。
こだわり屋様の選ぶ白いとうもこし(雪の妖精)は十分に甘みの強いものですが、デザートと
いう事で更に甘みを補う為に角谷文治郎商店様の三州三河みりんを使用してデザートスープに。
グラスにココナッツのプリンと同じくみりんでコンポートにしたとうもろこし、タピオカをいれ、スープを注ぎいれてグラスデザートに。
作ってみての感想として、みりんがとうもろこしの甘みを上手く引きだしてくれた事で、素材の
持つ本来の甘みを生かすという点で、みりんは大変に優れた調味料という印象を持ちました。課題としてはココナッツプリンとスープの量のバランスをもう少し考慮すべきでした。
デザート2:レンズ豆とコーヒーのジュレのパルフェ
名古屋製酪様の炭焼きアイスコーヒーを使用したデザート。すっきりした味の中に力強い苦みと
しっかりとしたボディ感が特徴のコーヒーにカルーアを加え風味豊かに補い、口どけの良さを
意識し、ゼラチンで柔らかめのジュレに仕上げました。
器の底からレンズ豆の珈琲煮、キャラメルのクレームグラッセ、ル・カンテンウルトラで濃度を
つけた低脂肪のクリーム、コーヒーのジュレと順に重ねてパフェ仕立てにしました。
食後でもさらりと食べて頂けるように、苦みと甘みのバランスの取れた軽いデザートを
意識しました。食感のアクセントに香ばしいアーモンドチュイルを添えています。
*サラダバーと担当シェフのオリジナルヴィネグレット
サラダバー内容
・スパイシーミックス ・カーリーケール ・ミニフェンネル ・カステルフランコ ・ピンクロッサ
・フレンチラディッシュ ・コールラビグリーン ・コールラビパープル
(以上 こだわり屋様より)
・オニオンスライス ・赤玉ネギの酢漬け ・塩茹でモロヘイヤ ・大葉 ・塩茹でインゲン ・キュウリ(以上 ル・プランタン様より)
*料理の箸休めにサラダバーがあるのは、食べ手にとって良かったと好評でした。
担当シェフのヴィネグレットの用意も面白いとのご意見も頂きました。
*当日見た感じですが、5種類のヴィネグレットを色々と味わっている方は少なく、もっと
プレゼンテーションや配置の工夫で皆さんが積極的に使ってもらえるのでは?とのご意見を
頂いております。今後の勉強会への課題の1つとして考えていきます。
高瀬物産様よりご協賛頂いたワイン
*Ventoux
生産者:Vidal-Fleury
1781年にコート・デユ・ローヌ地方アンビィの町に創業した、ローヌ最古の生産者。
AOCコート・ロティの認可にも尽力し、<コート・ロティの生みの親>とも称されるローヌを
代表する生産者の1つ。
特徴:輝きのある濃いルビー色。ブルーベリーなどの黒系果実やスミレのような花、甘草の香り。
酸味は滑らかで少しスパイシー。果実味たっぷりのミディアムボディの赤ワインです。
相性の良い料理:赤身肉料理、クリームソースを使った白身肉料理、炭火焼、ローストした肉、ピザ、バーベキュー、チーズなど
*Cadis Duca del Frassino, Soave Classic
生産者:Cantina di Soave
1898年創業の、ヴェネトの地域に根差した生産者協同組合。イタリア国内でも最も大きな生産者の一つです。
特徴:手摘みのブドウをソフトプレスして造る高品質のソアヴェ・クラシコ。リンゴやパイナップル、アプリコットなどの果実の旨みやミネラル感が溢れます。古くから評価の高かった
クラシコ地区のワインです。
相性の良い料理:前菜、魚介類(白身魚・サーモン・甲殻類・牡蠣等)、鶏肉や野菜を使った料理、チーズ類
*Moscato Petalo
生産者:Distilleria Bottega
ボッテガ家は、ヴェネチアの北約45kmに位置するグラッパとワインの一大産地コネリアーノ丘陵で、代々グラッパの蒸留に携ってきました。オーナーは、斬新なアイデアとセンスでボッテガ社のグラッパとワインを世界的に広め国内外で高い評価を得ています。
特徴:「ペタロ」とは花びらの意味。濃い目の麦わら色。モスカート種独特の濃い芳香があり、バラの花の香りがします。独特の濃密な味わいで細やかな泡立ちが魅力的。甘口の白の
スプマンテです。
相性の良い料理:食前・食後酒として、イチゴやピーチなどのフレッシュフルーツと共に、洋ナシのコンポート、ゴルゴンゾーラチーズなど
*Pol Messer Rosé Sec
生産者:C.F.G.V.( Compagnie Francaise des Grands Vins)
1909年創業のC.F.G.V.社はフランスNo.1の生産量を誇る、スパークリング・ワイン・メーカー
です。パリ近郊の本社、ロワール地方のソーミュールとアルザス地方のストラスブール近くにある3つの醸造設備にて、年間8,000万本を超えるスパークリング・ワインを生産しています。
特徴:上品なピンク色。繊細な泡立ちに、心地よい赤い果実の香りが広がります。甘みと酸味の
バランスがとても良く、爽やかな飲み口のロゼスパークリングワインです。
相性の良い料理:前菜、魚介類(白身魚・サーモン・甲殻類・牡蠣等)、鶏肉や野菜を使った料理、チーズ類。
*Brut Réserve Première, Non Vintage
生産者:Champagne Montaudon
1891年創業の歴史と伝統のある老舗シャンパーニュ・メゾンです。現在では、2,400haの
自社畑から厳選されたブドウを畑ごとにキュヴェを分けて醸造を行い、伝統的かつ家族的な製法を守りながら高品質なシャンパン造りを行っています。
特徴:ブリオッシュのような優しい甘い香り、花、洋ナシ、リンゴの香りも感じられます。
味わいはソフトでありながら、ライチなどフレッシュフルーツの味の余韻も残ります。
爽やかでドライな口当たりのため、様々な料理に合わせてお使い頂けます。
相性の良い料理:前菜、魚介類(白身魚・サーモン・甲殻類・牡蠣等)、鶏肉や野菜を使った
料理、チーズ類
会員・賛助会員様・ビジターの参加者からのご意見
・今回参加させて頂き、色んな事にチャレンジされている事が自分にも凄く刺激になりました。
うちの若い料理人にも参加させたかったです。
・今回作られた料理ですが、メニューが手書きでもいいのであると良かったかなと思いました。
・勉強会、良い企画だと思います。今後、恒例の企画として頂き若い料理人達との交流を深めて研究会との
繋がりが持てるようになると良いかと。
・個人的に営利目的ではないので、会費は一律5,000円くらいで良いのでは。
・このような勉強会に出席できて良かったです。
・ワインも食材もとても良い品を用意してもらえて良かったと思います。そして、それを調理するシェフ達も
素晴らしかったと思います。反省という感じではないですが、前回調理して頂いたシェフとは別のシェフに
担当してもらえると良いかなと(色々勉強する上で)個人的には思いました。今年から始めた試みなので色々苦労は有ると思いますが、一番はやる気と継続する力だと思います。いろんな試みにチャレンジして個々の
向上と精進に研究会をもっと使って料理だけでなく人としても成長していけるそんな会に出来ると良いと
思います。
・手の込んだ料理とワインのマリア-ジュ、大変に勉強になりました。
・今回使用して頂いた赤鮑は身の縮みがなく、食感は柔らかいが調理法が難しい食材です。上手く調理して頂き、業者として有難かったです。
・若い料理人を研究会に導くきっかけになるのではないでしょうか?
・朝食会は閉鎖的な雰囲気を強く感じてしまいますが、この勉強会はシェフ・業者様との交流がしやすく
有難いです。
・やってみたい料理があった。
・パテの使い方が勉強になった。
・自分のお店以外の厨房に入る機会はほとんどないので、新鮮で、楽しくやらせて頂きました。食事も含めて他の会員の皆さんの店舗見学は刺激になって面白いと思いました。
・参加者に名札があると、より交流がしやすくなるのでは?